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宇都宮地方裁判所 昭和55年(わ)216号 判決 1981年2月02日

裁判所書記官

酒井自之

本店の所在地

栃木県安蘇郡田沼町大字栃本一七二五番地

代表者の住所

同町大字吉永八四六番地

株式会社勅使川原精麦所

(右代表者代表取締役 勅使川原代吉)

本籍

栃木県安蘇郡田沼町大字吉水八四六番地

住居

右同

会社役員

勅使川原義一

昭和四年一月三日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官子原英和、弁護人(右両名につき)小沼洸一郎、各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人勅使川原義一を懲役六月に、

被告人株式会社勅使川原精麦所を罰金五六〇万円に、各処する。

被告人勅使川原義一に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社勅使川原精麦所(以下単に「被告会社」と称する。)は、栃木県安蘇郡田沼町大字栃本一七二五番地に本店を置き、精麦の委託加工、畜産農場の経営、飼料の売買等を営業目的とする資本金七二万円の法人であり、被告人勅使川原義一(以下単に「被告人」と称する。)は、被告会社の取締役として業務全般の統轄運営に参画しているものであるが、被告人は、被告会社代表取締役勅使川原代吉と共謀のうえ、右被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

(一)  昭和五一年四月一日から昭和五二年三月三一日までの事業年度(昭和五一年度)における被告会社の所得金額五四〇八万三八〇六円(別紙「五一年度修正損益計算書」及び「同年度製造原価報告書」のとおり)のうち、同計算書の製造原価・役員報酬・雑収入・価格変動準備金認容・認定利息の各欄で※印を付して記載した各収支の差益一六二万九八二六円を控除した金額五二四五万三九八〇円(これに対する法人税額は一九八八万四八〇〇円)につき、その所得の概要を知りつつ、別紙「五一年度ほ脱所得の説明書」記載のとおり、飼料麦等の売上の一部を除外するほか、期末たな卸商品等の一部を除外する等の方法により、右所得の一部を秘匿したうえ、昭和五二年五月三一日栃木県佐野市若松町四二五番地所在佐野税務署において、同税務署長に対し、被告会社の右事業年度の所得金額は二〇三七万〇〇七〇円であり従ってこれに対する法人税額は七〇六万三七〇〇円であると過少に装った虚偽の法人税確定申告書を提出し

(二)  昭和五二年四月一日から昭和五三年三月三一日までの事業年度(昭和五二年度)における被告会社の所得金額三三五二万三二二二円(別紙「五二年度修正損益計算書」及び「同年度製造原価報告書」のとおり。これに対する法人税額は一二三六万八五〇〇円)につき、右所得の概要を知りつつ、別紙「五二年度ほ脱所得の説明書」記載のとおり、前記と同様の方法により右所得の一部を秘匿したうえ、昭和五三年五月三一日前記佐野税務署において、同税務署長に対し、被告会社の右事業年度の所得金額は九五五万二六四六円でこれに対する法人税額は二七八万〇一〇〇円であると過少に装った虚偽の法人税確定申告書を提出し

よって、右各不正行為により右被告会社の右各事業年度の法人税額のうち、右各認識ある所得の金額に対する税額と右各申告にかかる税額の各差額(別紙五一年度、五二年度各脱税額計算書のとおり)、(一)(昭和五一年度分)につき一二八二万一一〇〇円、(二)(昭和五二年度分)につき九五八万八四〇〇円、をそれぞれ免れたものである。

(証拠の標目)

但、本欄においては「昭和×年×月×日」を「×・×・×」と略記する。

判示事実全部につき

一、被告人の検察官に対する供述調書二通(55・5・22付、55・5・25付)、及び大蔵事務官に対する供述の録取書一二通(55・1・17付、55・1・19付、55・1・20付、55・10・5付、55・11・8付、55・1・24付、55・1・11付、55・1・25付、55・1・26付、55・1・31付、55・2・5付、55・2・6付)、並びに被告人作成の答申書五通

一、勅使川原代吉(被告会社代表者)の検察官に対する供述調書二通、及び大蔵事務官に対する供述の録取書四通(54・4・16付、54・11・12付、55・1・23付、55・2・5付)、並びに同人作成の上申書一通及び答申書二通

一、大蔵事務官作成の調査書一二通

一、証人金沢正安の当公判廷における供述

一、佐野税務署長作成の証明書二通

一、被告会社の登記簿謄本(登記官作成)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書二通

一、被告人及び被告会社代表者の当公判廷における各供述

(法令の適用)

被告会社につき

判示各所為の適条 各年度ごとにいずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項

併合罪の加重 刑法四五条前段、四八条二項

宣告刑の量定 罪金五六〇万円(脱税額の二割五分を目度に量定。求刑同七〇〇万円)

訴訟費用の負担 刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条(連帯負担)

被告人につき

判示各所為の適条 各年度ごとにいずれも法人税法一五九条一項、刑法六〇条

刑種の選択 いずれも懲役刑選択

併合罪の加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示(一)昭和五一年度分についての罪の刑に法定の加重)

宣告刑の量定 懲役六月(求刑同じ)

刑の執行猶予 刑法二五条一項(三年間執行猶予)

訴訟費用の負担 刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条(連帯負担)

右両名につき考慮した情状

一、起訴分は二事業年度計二二四〇万九五〇〇円の脱税。

所得を隠した割合は昭和五一年度分六割強、同五二年度分七割強、に及ぶもの。出目の売上・棚卸の一部を帳簿外にすることから始まって相当長期間に亘る犯行。

一、現在脱税分と重加算税の大半を納付済で近く完納の見込。税務調査に協力的態度をとり現在反省を示す。これまでの地域社会における被告会社・被告人らの貢献。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 千徳輝夫)

修正損益計算書

自昭和51年4月1日

至昭和52年3月31日

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

製造原価報告書

自昭和51年4月1日

至昭和52年3月31日

<省略>

<省略>

修正損益計算書

自昭和52年4月1日

至昭和53年3月31日

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

製造原価報告書

自昭和52年4月1日

至昭和53年3月31日

<省略>

<省略>

ほ脱所得の説明書

自昭和51年4月1日

至昭和52年3月31日 (株式会社勅使川原精麦所)

<省略>

<省略>

<省略>

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<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

ほ脱所得の説明書

自昭和52年4月1日

至昭和53年3月31日 (株式会社勅使川原精麦所)

<省略>

<省略>

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<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

脱税額計算書

自昭和52年4月1日

至昭和53年3月31日

<省略>

税額の計算

<省略>

脱税額計算書

自昭和51年4月1日

至昭和52年3月31日

<省略>

税額の計算

<省略>

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